90℃加熱中に生じる鶏もも肉浸出液によるホワイトソースの分離は, 2.4mM N -ethyl-maleimide (NEM) または, 10mM ethylendiaminetetraacetic acidの添加により抑えられた.一方, 浸出液中のタンパク質は, ホワイトソースのクリーム層と結合せず, また, 加熱凝集した浸出液をホワイトソースに加えて再加熱しても分離は生じなかった.以上のことは, 加熱中に浸出液中のタンパク質分子間にSS結合と2価カチオンが関与する相互作用が生じ, その結果ネットワークを形成する際にカゼインミセルや油滴をトラップすることが, 分離の原因であることを示している.さらに, 浸出液中のタンパク質表面疎水性の加熱による増加にNEMは影響を与えなかった.このことは, NEMが存在してもしなくても, 浸出液中のタンパク質の凝集が同程度であることを示している.