アルコール投与ラットに及ぼす, ゴマリグナン物質であるセサミンおよびセサミノールの肝脂質代謝障害予防効果について調べることを目的として実験を行い, 以下の事項が明らかとなった. (1) アルコール摂取は飼料摂取量および体重増加を抑制する傾向がみられた.セサミンはこれらの抑制効果を改善したがセサミノールにはこの効果がなかった. (2) アルコール摂取は肝臓重量, 肝脂質量を有意に増加させた.セサミンは両者とも抑制したが, セサミノールは抑制しなかった. (3) アルコール摂取により, 血漿GOT, GTPの上昇が認められた.セサミン添加によりこの効果の抑制が認められた.しかし, セサミノール添加ではこの効果は認められなかった. (4) 肝臓の過酸化脂質はアルコール摂取で有意に上昇したがセサミンおよびセサミノールはアルコールによる過酸化脂質の上昇を抑制した.過酸化脂質に関してはセサミノールはセサミンと同程度の効果を示した. (5) 肝臓のα-トコフェロール濃度はセサミン, セサミノール添加群で高値を示した.この効果はセサミノールの方が強かった. 以上の結果からアルコール性肝脂質代謝障害予防効果はセサミンのみに認められ, セサミノールは類似の構造を持ちながらこの働きがないと考えられた.このことからゴマリグナンのアルコール性肝脂質代謝障害予防効果の強さと飴トコフェロール濃度を上昇させる効果の強さとは関連しない可能性が示された. 本研究の一部は文部省科学研究費 (基盤研究 (C) (2) No. 07680051) および日本私学振興財団の学術研究振興資金の補助を受けて行った.