家庭用軟水装置で処理した水および処理していない水道水で粥炊飯を行い, 飯粒と液状部の性状について比較検討した結果は以下のようにまとめられる. 軟水を用いた水で炊いた粥については, 飯粒は軟らかく, 煮崩れ率が高くなった.粥全体の中で飯粒が占める割合は増加した.また, 軟水で炊いた粥の液状部の見かけの粘度は水道水を用いたものよりも高かった.軟水にカルシウムイオンを添加した場合, 炊いた粥の液状部の粘度低下が確認された. また, 官能検査結果においても軟水で炊いた粥の飯粒は軟らかく, 液状部の粘りが強いと有意に識別され, この結果は各々の物性値の測定結果と合致していた.これらのことには, 軟水を用いた方が加熱中泡立ちやすいこと, 加熱中の水分蒸発率のやや多いことおよびカルシウム量の少ないことが影響していると推察された.