リグナン高含有ゴマの有用性を明らかにするために, セサミンおよびセサモリンを高濃度に含むゴマのラット体内トコフェロール濃度上昇作用を, 在来系統のゴマと比較検討した.セサミンおよびセサモリン高含有ゴマであるA538, B305およびB307と在来系統のゴマである真瀬金, 関東1号およびビロードの2%および5%添加飼料と, ゴマ無添加飼料を作製し, 4週齢の雄性Wistarラットに14日間摂取させた.肝臓および腎臓中のα-トコフェロール濃度はゴマ摂取によって上昇したが, ゴマの系統や添加量による違いは見られなかった.肝臓および脳中のγ-トコフェロールは, セサミンおよびセサモリン高含有ゴマ摂取により有意に上昇し, 腎臓および血清中のγ-トコフェロール濃度も高い傾向を示した.また, 飼料中のセサミンおよびセサモリン含量と体内γ-トコフェロール濃度には正の相関が見られた.以上の結果から, セサミンおよびセサモリンの摂取量が多いほど体内トコフェロール濃度が上昇することが示され, リグナン高含有ゴマの有用性が示唆された.