インゲン豆の一種であるトラ豆より得られたα-アミラーゼインヒビターは等電点クロマトグラフィーによりさらに二つのアイソマーに分離された.主要なインヒビター (TAI-I) の等電点は4.70であり, 他方 (TAI-II) は4.60であった.二つのインヒビターの分子量はともに40,000であったが, 糖含量はTAI-Iが9.4%, TAI-IIが8.9%であった.両インヒビターのアミノ酸組成に大きな違いはみられず, Asx, Ser, Val, Thr, Glxを多く含んでいた.すい臓と唾液のα-アミラーゼに対するインヒビターの阻害活性に大きな違いはみられなかったが, 阻害活性が最大に達するのに必要な時間はTIAI-IよりもTAI-IIのほうが短かった.両インヒビターは類似の熱安定性を示し, 80℃で20分間加熱した場合に元の活性の約40%が失活した.