病院で分離された黄色ブドウ球菌 ( Stpphylococcus aureus ) の多くが, ペニシリン結合タンパク質 (PBP) 2'を持ちメチシリンに高度の耐性を示すmethicillin-resistant Stpphylococcus aureus (MRSA) であると報告されている.生活環境中にMRSAがどの程度存在しているか, また耐性はどの程度かを評価するために街路や駅などの空気からMRSAの分離を試みた.ブドウ球菌の選択培地であるマニトール食塩培地に生育した988株のうち39株が, メチシリン16μg/mlを添加したマニトール食塩培地でも生育し, グラム陽性球菌でコアギュラーゼ試験陽性であった.5株は S.aureus (黄色ブドウ球菌) で21株は他のブドウ球菌であった.いずれもPBP2'を持たず, メチシリンに対して境界領域の耐性しか示さなかった.この結果は, 病院とは異なり街路, 駅, 電車などの都市生活環境には高度耐性のMRSAはほとんど存在していないことを示している.