大学生の「ニーズ」とその要因を, 生活情報の種類と選択率を取り上げて, 東京圏と一地方都市の調査に基づいて検討した.内的要因として主体形成にかかわる属性, 外的要因として地域の有する生活の社会的条件という二つの視点から考察した結果, 次のような実態が明らかになった. (1) 両地域を合わせてみた場合, 選択率50%以上の生活情報の種類は, 生活の質を維持する「R : 地域・環境」, および生活の質の向上を目的とする「L : 余暇・文化」と「C : 消費・家庭」にわたっていた. (2) 地域比較より, 概して東京圏の大学生は, 「教育・学習」に関する情報を, 一地方都市の大学生は, 「求人」の情報を求めていることが明らかになった.他の項目では, あまり地域差が認められなかった. (3) 性別では, 女性では, 「C : 消費・家庭」の選択率が顕著であり, 男性では, 特に「スポーツ」の選択率が高かった. (4) 属性として, 専攻, 学年, 居住形態におけるカテゴリー別のサンプルに基づいた分析を実施した.全体のサンプルに基づいた分析に比べて, より多くの項目で生活情報の選択率における地域差を確認できた、これらは, PLIの活動領域である, 学ぶ, 働く, 遊ぶ, 費やす, 住む, 癒すなどの生活の社会的条件との関連があることを把握した. 今回の調査の結果から, 「ニーズ」を形成する要因として, 大学生の属性と地域の有する生活の社会的条件が関連していることが明らかになった. 今後は, 「ニーズ」の多様化の構造を明らかにする目的で, 生活情報の種類の組み合わせについて, 主成分分析を用い, 性別比較を中心に検討する予定である。