ナットウキナーゼ活性を指標として納豆菌 ( Bacillus natto NB-1株) による大麦の固体発酵が可能であることを明らかにした.その活性は37℃の発酵で1日目にピークを示す一過性のものであり, その後漸減したが, 1.0M尿素の共存下ではピーク後の濃度の減少は抑えられ, 酵素の生産量は持続的に高められることが分かった.この納豆菌による麦発酵物中にはナットウキナーゼが持つ強力なフィブリン分解能 (10万IU以上/100g乾燥物) と共に, Suc-Ala-Ala-Pro-Phe-pNA, H-D-Val-Leu-Lys-pNA, Suc-Ala-Ala-Ala-pNAなどの合成アミド基質に対する分解能, そして大量のビタミンK2 (メナキノン-7) (約9,500μg/100g乾燥物) の存在が確認された.また, 未処理物に比べて発酵大麦は遊離アミノ酸含量が高く, 特にPhe, Val, Tyr, およびGlu濃度は10倍以上優れていることが分かった.