戸建住宅を対象に浴室環境の実態調査を行った結果, 次のような知見が得られた. (1) 浴室の設置は大半が1階であるが, 築10年より新しい住宅では2階以上の設置が増加する傾向が認められた. (2) 浴室は築年数が浅いほどユニット工法が増え, プレハブ造住宅ではユニット工法が多いことから今後プレハブ造住宅の増加とともにユニット工法の増加が予測される. (3) 浴室の色彩については時代とともに流行がみられ, 近年壁色は白またはベージュに収斂され, 浴槽は築10年以上では金属色が多いが, それ以降多様な色が用いられている.また壁と浴槽の色はコーディネートされているものが多くみられた. (4) 設備について, 窓の設置率は高いが換気扇は半数に留まる.また気泡装置や浴室暖房機 (乾燥機) の設置率は低いが所有者の年齢や使用頻度から今後の普及が見込まれる.そして手摺の設置率は近年高くなる傾向を示し, 築5年未満では約半数に設置されている. (5) 浴室内での転倒は浴室の明るさとの間に有意な差が認められた.また転倒状況などからシャワー付近や洗い場の壁などへの手摺設置の必要性が示唆された. (6) 浴室の総合的な満足感には色彩的要因や浴槽の要因, 換気の良さやかびの生えにくさ, 浴室の明るさなどが影響していることが明らかとなった. (7) 脱衣空間では浴室に比べて換気設備の設置率が低く, 照明では白熱灯よりも蛍光灯が多く用いられている.しかし築年数が浅くなるにつれ壁色が白やベージュに収斂していることや暖房設備の普及率が低い点については浴室と同じ傾向を示す. 本報告の一部は日本家政学会関西支部第21回 (通算第77回) 研究発表会において口頭発表を行ったものである.