乳児の口唇運動, 舌運動および下顎運動の発達過程を明らかにするため, 19人の日本人乳児を対象とし, 離乳開始後から生後1年までの間, 半月毎に3日間連続の食事場面の継続観察およびビデオテープへの記録を行った.その結果, 乳児は離乳開始後2カ月の内に口唇閉鎖機能を向上させた.個人差が認められたにもかかわらず, 摂食運動機能の開始月齢の四分位数範囲は, いずれも1.1カ月以下であった.半固形食に対する舌および下顎の動きは, 固形食に対する動きと異なり, このことから, 固形食の導入のタイミングが, 咀嚼の開始および咀嚼運動のコントロールに重要な役割を果たしていることが示された.