小麦フスマから抽出された水可溶性抽出物の抗酸化性を, いくつかの方法によって試験した, また, B16マウス黒腫4A5細胞に対するメラニン生産の抑制能についても検討した.小麦フスマの水可溶性抽出物は, 水/エタノールシステムにおけるリノール酸の自動酸化を強く抑制し, また2-2-diphenyl-1-picrylhydrazylを用いる方法においてもラジカル補足能を示していた.これらの活性は熱処理に対して安定であった.さらに, この抽出物はスーパーオキサイドデスムターゼ (SOD) 様の活性と四塩化炭素で誘導したラット肝臓ミクロゾームの脂質過酸化を抑制する抗酸化活性も示していた.しかし, それらの活性は, 熱処理温度が上昇するにつれ効果は減少した.成分分析結果とSDS-PAGEから, 蛋白性の物質が抗酸化性について重要な役割を果たしていることがわかった.SOD様活性に関しては, SE-HPLCを用いて有効画分を分離した.分子量50kDaの画分が強いSOD様活性を示していた.さらに, 小麦フスマの水可溶性抽出物がB16マウス黒腫細胞のメラニン生産を抑制することを確認した.小麦フスマ抽出物は, 黒腫細胞から抽出されたチロシナーゼとマッシュルーム由来のチロシナーゼの活性を抑制しなかったが, 細胞内のチロシナーゼ活性を阻止していた.