1歳児とその母親49組のままごと遊びの分析を通して, スクリプト獲得の初期段階であると考えられる1歳児の食に関するスクリプトの構造を概観するとともに, 子どものスクリプトの構造化に関わる母親の役割について検討した.ままごと遊びにおける母子の行動をコンピュータに取り込み, 5秒ごとのファイルを作成し, 各スロットの出現時間を記録した.スロットの種類が最も多いスクリプトを抽出し, スロットの出現率と自発・受動・模倣における母子間比較及び多くの子どもに出現した「食べる」「飲む」スロットと母親のスロットとの関係について分析し, 以下の結果を得た. (1) 子どものスロットは, 日常生活の主要行為である「食べる」「飲む」に集中し, 母親からはその行為を促すスロットや意味づけするスロットが多く出現した. (2) 1歳0カ月児のスクリプトの構造化に対して, 母親の寄与が大きいことが明らかになった. (3) 母親のスロットは, 子どもの行為を促し, 子どもの行為を強化する効果をもつことが示唆された. 本報告の概要は, (社) 日本家政学会第52回大会において, 発表された.