本研究では, 成長期雌雄ラットの骨に対するミルクの効果を検討した.骨量測定装置による低骨量測定は, 機械の精度上, 以前は正確かつ精密に評価することは極めて困難であった.しかし, 近年, 低骨量でも正確な測定が可能となった.そこで, 本研究では成長期の骨に対するミルクの効果を骨量測定を中心に行った. 離乳直後の3週齢SD系雌雄ラットを使用し, 雌雄いずれも, ミルクのみをカルシウム (Ca) 源とするミルク食 (Ca0.3%, リン (P) 0.3%) を摂取する〓ミルク群・〓ミルク群と, 炭酸Caのみをカルシウム源とするコントロール食 (Ca0.3%, P0.3%) を摂取する〓コントロール群・〓コンロトール群に分けた.なお, 実験食飼育期間は4週間とした.実験Aでは, 生体における骨量変化, およびCa出納を検討した.すなわち, 実験開始時, 実験食2週目, 実験終了時 (実験食4週目) の計3回の腰椎・脛骨骨量測定, および実験食開始直前を含む計4回のCa出納試験を実施した.実験Bでは, 実験食開始直前, 実験食2週目, 実験終了時 (実験食4週目) の計3回解剖を行い, 大腿骨, 腰椎, 脛骨を採取し, 骨強度, 骨重量および骨中Ca・P含量, 摘出骨骨量を測定した. その結果, 実験Aにおいて, ミルク群の腰椎・脛骨骨密度 (生体測定) および腸管からのカルシウム吸収がコントロール群に比べ有意な高値を示した.また, 実験Bでは, ミルク群の摘出腰椎・摘出脛骨骨密度, および大腿骨骨強度, 骨重量, 骨中Ca・P含量が, コントロール群に比べ有意な高値を示した。以上のことから, ミルクが成長期の骨代謝に極めて効果的であることが示唆された.さらに, DXA法を用いた生体における微量骨量変化の測定の有用性が示された.