スルメイカを用いて 1~6℃ の天日乾燥あるいは 32 ℃ の温風乾燥によりスルメを製造した.その後, エキスを抽出し, 遊離アミノ酸, 核酸関連物質, 有機酸, グリシンベタイン含量, 色を測定し, 官能検査により生イカとスルメ完成品の違いを比較した.また, 乾燥方法によりどのような違いがあるのかを検討した. 1) 官能検査の結果, スルメ完成品のエキス成分は生に比べて, 天日乾燥, 温風乾燥ともに苦味, 酸味, うま味が有意に強かった.天日乾燥では甘味も有意に強かった. 2) スルメ完成品の遊離アミノ酸総量は, 天日乾燥により有意に増加したが, 温風乾燥では変化がなかった. 3) 温風乾燥によりスルメ完成品の ATP, AMP, IMP は著しく減少したが, 天日乾燥では温風乾燥より減少程度が小さかった. 4) スルメ完成品の有機酸については, 天日乾燥によりリン酸と乳酸が, 温風乾燥により乳酸と酢酸が有意に増加した.グリシンベタイン量には天日乾燥, 温風乾燥により変化がみられなかった. 5) 温風乾燥によるスルメ完成品の b 値は天日乾燥より有意に高く, メイラード反応が進行していることが示唆された. 6) 官能検査の結果, 天日乾燥によるスルメ完成品が温風乾燥より, 甘味とうま味が強かった.