メカブ粘性物質の摂取がラットの盲腸内発酵に与える影響について, 盲腸内の乳酸濃度から発酵速度を推定し, 発酵速度抑制効果を検討した. (1) 消化管内容物重量を測定し, 各部位における内容物の滞留時間を推定したところ, メカブ粘性物質の摂取により胃と小腸における滞留時間が延長し, これは内容物の粘度に依存する影響と考えられた. (2) メカブ粘性物質の摂取により盲腸内容物の乳酸濃度が低下し, 粘性物質の摂取が盲腸内細菌による発酵速度を抑制することが示されたが, 調製温度による粘性物質の性状の違いは影響しないと考えられた. (3) メカブ粘性物質が盲腸内細菌による発酵速度を抑制した要因として, 消化管内容物の粘度上昇に伴う基質の流入速度の低下, ならびに発酵性の低い粘性物質による腸内細菌の代謝抑制が推定された.