本研究は, 日韓の大学生の消費者価値に関する実態調査を行い, 異文化比較を行うものである.以下の結果が得られた.はじめに, 消費者価値の尺度において, 長崎・ソウル・蔚山の大学生間で異なっていることが明らかになった.長崎の大学生は, 快楽主義が比較的高いレベルを示し, 物質主義が低いレベルを示した.人間主義, 家族主義, 未来志向のレベルはソウルと蔚山の間に位置している.ソウルの大学生は物質主義と未来志向で比較的高いレベルを示したが, 人間主義, 順応主義, 平等主義, 快楽主義と家族主義においては比較的低いレベルを示した.蔚山の大学生は人間主義, 権威主義, 家族主義において比較的高いレベルを示した.人間主義, 家族主義, 未来志向のレベルはソウルと長崎の中間に位置している.消費者価値の相違は3地域の大学生間で認められたが, 注目すべき点は両国間の違いがみられなかったことである.さらに, 消費者価値は次の4つのタイプに識別された : 〈1型現状満足型〉〈2型勢力志向型〉〈3型現状追求型〉〈4型未来志向型〉.長崎の学生は〈3型〉, 蔚山の大学生は〈2型〉, ソウルの大学生は〈1型〉に類別され, 3者は異なる消費者価値をもつことが明らかになった.