生モチ米を蒸したときに褐変して蒸しモチ米や餅の外観を損ねることがある.この着色条件についてはこれまで検討されていない.本研究では「こがねもち」および「ヒヨクモチ」を用いて, 蒸したときに褐変が起こる生モチ米の貯蔵条件および洗米後の放置条件を検討した.生モチ米を4℃で貯蔵すると洗米後の放置条件によらず褐変は起こらなかった.37℃で10~30日間貯蔵し, さらに洗米および浸水後に7~9日間放置した生モチ米を蒸すと著しい褐変がみられた.蒸す前の生モチ米中の還元糖および遊離アミノ酸量は放置日数とともに増加し, 減少する過程において褐変がみられた.放置のかわりに浸水を行うと褐変が起こらず, 米粒中の還元糖および遊離アミノ酸量の増加はみられなかった.このことから蒸したモチ米の褐変には洗米後の米粒中の還元糖および遊離アミノ酸量の増加が関与し, アミノ-カルボニル反応生成物が一定量に達することが必要であることが示唆された.