遺伝子組換え食品に対する不安の一つに予期しないタンパク質や代謝産物の出現がある.ここでは, 遺伝子組換え食品の安全性に対する基礎的知見を提供することを目的に, タバコとリンゴをモデル植物として遺伝子組換え体を作製し, それらのタンパク質とフェノール類を分析比較した.遺伝子組換えには植物で汎用的に用いられている Agrobacterium 法を用い, 外来遺伝子としてはマーカーに用いる抗生物質耐性遺伝子と, 導入遺伝子産物の発現を発色で検出できるベータグルクロニダーゼ遺伝子を用いた.得られた遺伝子組換えシュートと非組換えシュートのタンパク質とポリフェノール類を分析した結果, タンパク質の電気泳動パターン, タンパク質量, ポリフェノールのHPLCプロフィール, ポリフェノール量, いずれもほぼ同様であった.