ラットで見られるゴマの体内γ-トコフェロール濃度上昇作用が, 異なる種でも見られるかどうかを明らかにするために, ゴマ摂取時のラットとマウスの体内γ-トコフェロール濃度を調べ比較した.ゴマは, 熊芝1号とリグナン類高含有ゴマである738号の2種類を用い, それぞれのゴマを5%添加した実験飼料とゴマ無添加飼料を4週齢のWistarラットとC57BL/6マウスに28日間摂取させた.肝臓, 腎臓および脳中のα-およびγ-トコフェロール濃度は, マウスに比べてラットで高かった.ラットの肝臓, 腎臓, 脳および血清中のγ-トコフェロール濃度はゴマ摂取により著しく上昇し, 熊芝1号に比べて738号摂取で有意に上昇していた.一方, マウスの肝臓および血清ではゴマ摂取によるγ-トコフェロール濃度の有意な上昇は見られず, 腎臓と脳では738号摂取によりわずかに上昇したが, その濃度はラットに比べてかなり低かった.また, ラットの腎臓および脳ではα-トコフェロール濃度がゴマ摂取によって高く維持されていたが, マウスではゴマ摂取による変化は観察されなかった.以上の結果から.マウスではラットで見られたようなゴマによるγ-トコフェロール濃度の上昇が起こりにくいことが明らかになった.