油脂食品の光による酸化を熱履歴および保存温度の点から検討した. 油脂は大豆油とラードを80℃, 120℃, 180℃で1時間加熱したものと非加熱のものを用いた.これをシャーレおよびVM-PET, GL-AE, PEフイルム製袋に注入し開放下または脱気包装して15~30日間室温および冷凍下に保存した.また, イカフライを調製し衣のみ冷凍下で90日間保存した. 油脂は室温保存したものは5日ごとに, 冷凍したものは10日ごとにPOVを測定した.また冷凍イカフライ衣は30日ごとに油脂を抽出した後各々POVを測定し, 以下の結果が得られた. (1) 大豆油を室温下で, 空気を遮断せずに蛍光灯を照射しながら20日間保存した場合, 非加熱と加熱したものの間で大きな差は認められなかったが, 120℃加熱したもののPOVが最も高かった. (2) (1) と同条件下でラードを保存した場合, POVは180℃加熱が最も高く, 次いで120℃, 80℃, 非加熱の順であった.また, POVはいずれも大豆油より低かった. (3) 空気を遮断せずに冷凍下で蛍光灯を光照射した場合, 大豆油, ラードともに室温保存よりPOVは低くなったが室温保存同様ラードより大豆油の方がPOVは高かった. (4) 業務用バキュームシーラーで脱気包装した油脂に光照射しても冷凍下では30日間POVの変化は認められなかった. (5) 脱気したイカフライ衣を光照射しながら冷凍保存した場合, 速度は極めて遅かったが, POVは経時的に上昇した.