ストックからコンソメ調製までの一連の過程において, ストック材料の鶏の部位および肉添加量がコンソメの食味に及ぼす影響を検討し, 以下のような結果を得た. (1) 仕上り量に対して抽出材料を30%添加した場合, ストックに用いる鶏の部位 (鶏ガラと手羽先) を分割して得られた各組織 (骨・皮・肉) のストックの呈味は特徴的である (肉ストックは5'-IMPやGluを多く含み, うま味が強い.骨および皮ストックはペプチドを多く含むが, うま味は弱い) ことが確認できた.しかし, 各組織のストックを混合して部位 (鶏ガラ又は手羽先) 別のストックにした場合, その呈味性においてガラと手羽先の差は少なかった. (2) コンソメの食味において, ストックの種類 (ガラ・手羽先) より肉添加量の影響が強く, 肉添加により食味の向上がみられ, その効果は肉を15%添加した場合の官能評価が最大となった.算出したMSG等価濃度を指標にうま味の強さを考慮した場合, ガラストックに15%の肉を添加したコンソメの値は, 手羽先ストックに30%の肉を添加したコンソメの値に匹敵することから, 手羽先ストックの方が肉を多く添加する必要性がある傾向が示唆された.しかし, コンソメの嗜好面を考慮した場合, 両者のストックとも45・60%と肉添加量を増加させても, 15%で得られた以上の効果を得られないことが認められた.