本研究では, これまでの親性準備性に関する研究を基に「子ども・子育てに関する意識」「同性の親への同一化」「自分の性の受容性」を測る尺度を作成し, 調査を実施した.その調査結果の分析から, その発達的変化や男女差を明らかにした.また, 先行調査で開発した「対子ども社会的自己効力感」尺度との関連性を検討した. その結果, 以下のことが明らかになった. (1) 「子ども・子育てに関する意識」は「子どもへの親和」「親になることの受容性」からなる2因子構造であり, 「子どもへの親和」がより重要な構成要素である. (2) 「子ども・子育てに関する意識」及び「子どもへの親和」「親になることの受容性」は, いずれも中学から高校へと高くなる.また, 男子よりも女子の方が高いが, 男女差は高校に入って学年が上がると縮まる傾向にある. (3) 「同性の親への同一化」は男子よりも女子が高く, 男子は学年が上がると共に低くなる.また, 「自分の性の受容性」は男子よりも女子が低い. (4) 「同性の親への同一化」は, 「子どもへの親和」及び「親になることの受容性」とゆるい正の相関関係にあるが, 「自分の性の受容性」と「子どもへの親和」及び「親になることの受容性」には相関関係がほとんどみられなかった. (5) 「対子ども社会的自己効力感」と「子どもへの親和」には, かなり高い正の相関関係が見出された.