家庭用ガスグリルの加熱の特徴を定量的に明らかにすることを目的に, 市販の両面焼きガスグリル5機種を対象に放射伝熱量及び対流伝熱量を測定するとともに, 食品を加熱し, その仕上がりに対し伝熱量及びガスグリルの仕様がどのように影響しているかを調べた.その結果, 以下の知見が得られた. (1) ガスグリルの庫内温度は, 加熱開始後1分までに300℃を越え, 15分後には460~580℃に達する. (2) ガスグリルの加熱能力の指標となる総伝熱量は, 機種により最大40%異なった.また, 総伝熱量に占める対流伝熱量の割合は, いずれの場合も放射伝熱量よりも大きく, 加熱開始1分後に77~100%, 5分後には59~74%であることがわかった. (3) ガスグリルの加熱能力は, 単に機器への入力で判断できず, 単位容積当たりの入力, 庫内の高さ及び焼き網とドア問の距離の影響を大きく受けていることがわかった.単位容積当たりの入力が大きく, 庫内の高さが低く, 焼き網とドア間の空間距離が長い機種ほど, 食品の水分蒸発速度は大きく, 着色速度が大きくなる傾向にある.