2002年6月, 北タイの3地域 (都市, 農村, 山村) において, 児童・生徒 (511 名) に対し, 身につけたい意識・価値観13項目について質問紙調査を実施し, 地域・学年比較をおこなった.あわせて親が児童・生徒に身につけてほしい意識・価値観について都市と地方 (98名) で実施し, 1979年の結果と比較をし, それぞれ分析をおこなった.地域差は, 低学年ほど大きく, 高学年になるに従いなくなった.おそらく低学年では, 地域の文化がそのまま反映されているが, 高学年になると世代で共通する考え (常識論理的な考え方, タイ市民としてより広い観点など) が反映しているものと考えられる.伝統的な価値観は, 山村地域, 低学年, 地方の親で認められた.先進的な価値観は, 都市, 高学年, および都会の親で認められた.農村地域, 中2は, これらの中間に位置した.また, 児童・生徒は, 個人主義的な意識・価値観が中心であるが, 親はかれらに集団社会で必要な意識・価値観を身につけてほしいと考えていることがわかった.親の1979年と2002年の比較では, 上位4項目の内容は同じであるが, 順位に変化があった.「礼儀正しさ」は重視する率が顕著に減少し, 「責任感」や「根気強さ」が大幅に増加し, 意識や価値観が少しずつ変化しつつある.