微生物が産生する脂質系生分解性プラスチックPoly- (3-hydroxy-butyrate-co-3-hydroxylvalerate, P (HB-HV) は柔軟性に乏しく, エコ素材として利用が進んでいない.本研究では, α-トコフェロール, BHA (butylated hydroxyaniso1), BHT (butylated hydroxytoluene) など食品添加物として許可された酸化防止剤が, 可塑剤として機能するか否かについて検討した.その結果, 試料を溶解, 急冷後に昇温DSC (differential scanning calorimetry) 分析を行ったところ, BHA, BHTおよびα-トコフェロールを30%添加することにより, P (HB-HV) のガラス転移温度 ( T g) がさがった.そのことはDMTA試験 (dynamic mechanical thermal analysis) においても同様であった.またP (HB-HV) だけでは結晶化はすすむが, 20%BHA添加すれば結晶崩壊に伴う吸熱ピークがほぼ消失するため, 結晶化の阻害が予想された.引張り試験から, α-トコフェロールやBHAの添加量を増加するとP (HB-HV) がよく延びるよう改善された.以上のことにより, P (HB-HV) にα-トコフェロールやBHAなどの酸化防止剤を添加すると柔軟性が改善されるため, それらに酸化防止効果以外に優れた可塑剤としての機能のあることがわかった.