蒟蒻飛粉を食品素材として活用する目的で, 飛粉素材 (無処理 : S, 超音波併用のエタノール浸漬15分間 : Aとエタノール浸漬15分間 : B) をカステラの調製に活用し, その製品の性状, 食味特性, 成分と保存性に及ぼす飛粉添加の影響を検討し, 次の結果を得た. (1) 素材S, A, Bを小麦粉の12.5%まで添加して比較した.その結果, 素材Aを7.5%まで置換できることがわかった.この素材Aの添加製品は無添加製品に比べ, バッターの比重が大きく焙焼後の比容積は若干小さくなるが, 内層の気孔が緻密となり, テクスチャーは硬さの値が小さく軟らかく, 凝集性は大きく回復力が良く弾力性に富んだ食感を形成した.また, その色調は薄い茶褐色がつくものの, 官能評価の総合的な好みでは無添加製品と同じように評価され, 良好であった. (2) 素材Aを7.5%添加した製品の成分は無添加製品に比べ, たんぱく質, 食物繊維, 無機成分 (Fe, Ca, Zn, Cuなど) の栄養素の含量が多くなった. (3) 素材Aを7.5%添加した製品の水分含量は無添加製品に比べ多かったが, 製品の7日間保存後のAw 値 (内層部) は無添加製品0.86に対してA添加製品0.84を示し, 保存性が高かった.