デンマーク技術研究所 (D.T.I.) で開発された洗濯中に被洗物が受ける機械作用の試験方法は, 家庭洗濯および商業洗濯に対する機械作用を評価するために広く用いられている.この方法では直径35mmの穴を5つ打ち抜いた平織り綿白布を用い, 被洗物が受けた機械作用を, 穴の内側にほつれ出て, しかもつながっている糸の本数の合計をMA値として表している.しかしながらこの方法は, 洗浄により切断され穴の周囲からなくなった糸の本数を考慮に入れないため, 特に強い洗濯をした場合の機械作用を過小評価する傾向がある.また, 布のサイズは, 家庭洗濯機用としての40cm×40cmの試験布1種のみである.そこで本研究では, (1) MA値の測定方法としてほつれ出た糸に加え切れた糸と歪んだ糸をも数える, D.T.I.で提唱している計測方法の改良を提案した. (2) 10cm×10cmに直径35mmの1穴を打ち抜いた小型MA試験布を形状の異なる被洗物の特定の部位に縫い付けて標準洗濯機 (撹拌式) で洗浄し, 形状の大きいものほど受ける機械作用が大きいことを明らかにした. (3) 小型MA試験布と湿式人工汚染布を同じ位置に重ねて縫い付け, 汚れ落ちと機械作用の関係を明らかにした.