酵素を利用した染色廃水の処理を検討する目的で, 染料の酵素による脱色実験を行った. 染料としては, 10種のアントラキノン染料の市販品を用いた.染料水溶液に酵素を添加し, 紫外及び可視部吸収スペクトルを測定したところ, 10種すべての染料が効率よく脱色した.精製したA. B. 40の水溶液に酵素を添加し37℃に保ち, 一定時間経過後の試料を採取し, 酵素を除いた後にHPLC分析を行ったところ, A. B. 40は酵素が添加されると直ぐに分解が始まり, 分解化合物ピークBを生成しながら脱色が進んでいくことがわかった.保持時間5.2分付近に出現したピークB由来の分解化合物は, 酵素添加後から約3時間で最大量となり幾分減りながらも24時間後も比較的大きなピークとして存在していた.フォトダイオードアレイ分析によりこの分解化合物の吸収スペクトルを確認した. よって, BOがアントラキノン系染料を効率よく脱色させたことを確認した.