文献調査および長野県在住の消費者を対象としたアンケート調査を行い以下の結果を得た. (1) 生イカの購入割合が最も高かったが, 塩イカ, 煮イカの購入も維持されており, 北・東信に比べ南・中信地方で多く利用されるという地域性も認められた. (2) 塩イカ, 煮イカは, 普段から日常食として用いられており, 塩イカは酢の物, 粕和えやサラダに, 煮イカは刺身や酢の物などの和え物に多く用いられていた. (3) 30歳代以上の年齢層に比べ, 20歳代以下の塩イカ, 煮イカについての購入割合や食経験, 現在の摂食状況はやや低い傾向が認められたが, 今後も食べ続けたいとする回答は20歳代以下でも8割以上と多かった. (4) 郷土料理が伝承される重要な要因として, 子どもの頃からの母親の手料理による食経験に加え, 手軽に料理できること, 今の時代に見合うおいしさであることが示された.