75℃ で真空調理加熱した鶏ささ身は, 100℃で加熱したものより有意に収縮が弱くかつ, やわらかく仕上がった.両試料のヒドロキシプロリン量に, 有意な差はなく, 走査電子顕微鏡観察においても微細構造間に顕著な差は観られなかった.ミオシンを両温度で加熱後その凝集状態を透過電子顕微鏡で観察したが, 状態に差は認められなかった.しかしながら, 接触しているタンパク質同士を結合する試薬 1-ethyl-3-carbodiimide を用いて得られたミオシン凝集体の電気泳動パターンは, 明らかに 100℃ 加熱した方が75℃加熱したミオシンより重合化が進んでいることを示していた. このことは, 100℃ 加熱で形成されたミオシン凝集体がよりコンパクトな構造を持っていることを示している.