土壌から分離した菌no.153株は,グラム陽性で, Bacillus 属に属する菌であり,納豆粘質物の成分であるポリ-γ-グルタミン酸(PGA)を低分子に分解する.われわれはこの培養ろ液から70%硫安塩析によって粗酵素を調製し,さらにCM,DEAE,ゲルろ過カラムクロマトグラフィーで酵素の精製を行った.精製は十分ではなかったが,この画分を部分精製酵素としてその性質について調べた.この部分精製酵素は,培養ろ液に比べ,0.062%の回収率であり,その分子量は約28,000であった.至適温度60℃,至適pH8.0で,重金属ではとくに水銀とクロムにより阻害された.EDTAに強く阻害されたことから活性中心に金属が存在している可能性があった.また,分解物のHPLC分析と基質特異性の結果から,エンドペプチダーゼと推測された.