1990年, 1996年の調査に引き続き, 全国20地区, 1,966人の保育園児の保護者(母親が100%, 以下母親)を対象に魚介類およびその料理に対する幼児の嗜好について, 2001年にアンケート調査を行った. 1) 幼児の魚介類に対する嗜好は, 「大好き」・「好き」は約70%を示した.同じ良質なたんぱく質源の肉類に対しても幼児の70%が好きであった.魚介類と肉類の嗜好は正の相関がみられた. 2) 魚介類および肉類に対する嗜好を年齢別にみると, 魚介類では年齢とともに低下し, 肉類に対する嗜好は上昇する傾向であった. 3) 幼児の嗜好に影響する主な項目は, 母親の嗜好, 父親の嗜好, 母親の魚料理の得意度, 魚介類が夕食に上がる頻度, 地域などであった. 4) 幼児の好む魚介類の調理法は, 「焼く」「生」「煮る」で幼児の60%以上が好んでいた.「揚げる」調理法に対する好きな割合は, 5年前より低下した ( p <0.05). 5) 幼児の好む魚種は, えび, あさり, かに, しらす, さけ・ます, しらすであった. 6) 幼児の好きな割合が高い伝承料理は, 貝類の汁物, 立田揚・唐揚, 照り焼き, 寿司, てんぷらで, 幼児の50%以上が好んだ.これらの中には, 食べたことがないと答えた料理も多かった. 7) 魚介類に対する幼児の嗜好, 幼児の好む調理法, 魚種, 伝承料理には, 地域による違いがみられた.これから魚介類の摂取量を増やし, 魚離れを防ぐには, 母親が努力して, 魚介類を料理し, 食卓に上げることが重要になると考えた.