本研究は, 蟹, 海老およびロブスターから得られたキチン・キトサンを使用し, 再生利用可能な材料の開発に焦点を合わせて検討した.キチン・キトサンフィルムを調製し, 力学的性質と生分解性に関して調査した。キチンフィルムの引張強度は, キトサンフィルムよりも 30~40%程度低かったが, キチンフィルムの結晶化度はキトサンフィルムよりも高かった.キトサンフィルムの結晶化度や微結晶の配向は4種の溶媒間で大差がないけれども, 詳細に検討すると, 酢酸で作製したフィルムの結晶化度は他の試料より少々低かった.土壌から分離したキトサン分解菌 Sphingobacterium multivorum によるキチンフィルムの分解速度は, キトサンフィルムよりも高かった.キトサンフィルムの分解速度は, 酢酸を溶媒にして作製したフィルムが最も高く, プロピオン酸, 蟻酸, 酪酸溶媒フィルムの順であった.キトサンフィルムは, フィブリルが表面から剥離していく様子が明確にSEM観察できた.