河川生態系を適切に評価するためには,生物群集と生息環境の相互関係について詳細に把握することが重要である.本研究では洪水後に見られる堆積性微細有機物(FBOM:Fine Benthic Organic Matter,粒径 63~100 µm)の動態が底生動物群集に与える影響を明らかにすることを目的として多摩川中流域の2地点で調査を行った.その結果,洪水後の有機炭素量の変化と底生動物現存量の回復には明確な関係は見い出せなかった.また,熱分解GC/MSを用いてFBOMの組成分析を行った結果,上流地点(青梅市)では洪水前後で有機物組成が変化していたのに対し,下流地点(日野橋)では洪水後に洪水前の組成に近づいていた.有機物組成の変化は底生動物現存量及び種構成に影響していることが推測された.