本研究では都市に近接する自然干潟について,晴天時の窒素収支を明らかにし,干潟が保全されている要因について検討を行った.さらにシミュレーションにより雨天時流入負荷が干潟に与える影響の大ききについて検討を行った.その結果,干潟内の生物による窒素固定に関して,アオサ類や底生微細藻類などの基礎生産者の果たす役割が大きいことを明らかにした.また,流出雨水による干潟への窒素流入負荷量は相対的に小さいことが明らかになった.自然干潟である和歌川河口干潟は,和歌川排水機場および下水処理場という人為的構造物を介して制御された干潟であることを明らかにした.