本研究では,雨水滞水池が設置されている合流式下水道排水区を対象に,分布型モデルを用いた解析により,リアルタイムコントロール (RTC) を実施した場合の合流式下水道改善効果を定量し,合流式下水道越流水対策として RTC の有効性を明らかにした.その結果,既存施設の貯留能力を活用した RTC は,特に総降雨量 10 mm 程度の場合に汚濁負荷削減効果が高い結果が得られた.また,年間解析の結果,総放流負荷量を18~26%,越流回数を14~29%削減できることもわかった.さらに,RTC の有効性を RTC 実施時と同じ効果が得られる雨水滞水池を新たに整備した場合に係る費用として評価した結果,高い有効性が得られた.今回の検討より,合流式下水道越流水対策として RTC の実施は有効であることを明らかにした.