塩化第二鉄を凝集剤として用い発生する前凝集汚泥と,従来の下水処理システムで発生する混合濃縮汚泥に対して炭化実験を実施し,炭化処理前後の収率や得られた炭化物の性状の違いから前凝集プロセスが汚泥炭化処理や炭化物に与える影響を調べた.固形分収率は,凝集剤添加量が高くなると増加し,それは凝集剤由来の鉄など無機分の増加が主要因であった.前凝集汚泥炭化物の比表面積は,炭化温度700℃で混合濃縮汚泥の炭化物より高い比表面積を示し,それは前凝集汚泥中に含まれる鉄化合物が汚泥中有機分に作用し,ミクロ孔が発達した結果であることがわかった.最後に炭化物の硫化水素吸着性能を評価したところ,硫化水素吸着性能は炭化物中灰分と相関があり,前凝集汚泥炭化物は混合濃縮汚泥炭化物に比べて高い吸着性能をもつことがわかった.