本研究では,廃棄物産業連関表を援用して,技術−物質フローを連結した分析モデルを構築した上で,鉄鋼生産インフラでの技術変化に着目した事例分析を実施し,埋立地面積およびCO2排出の誘発負荷量,資源生産性の改善効果を定量的に評価した.その結果,鉄鋼生産における先導技術の導入と産業コンプレックスの形成によって,銑鉄生産部門の天然資源投入量では約10.2%の削減効果,資源生産性で約15.0% の改善効果がもたらされることが明らかになった.一方,先導技術の導入に伴って追加的な資源投入等が生じ,国内全体で誘発される埋立量およびCO2排出量がそれぞれ約2.7%,0.41%増加することがわかった.しかし,さらに投入資源を廃棄物から回収する複数の技術と組み合わせることで,誘発量の増加を抑えうることも定量的に確認された.