港湾域では,底泥中にダイオキシン類が高濃度に検出される箇所が存在している.ダイオキシン類の環境基準は含有量基準となっている一方,浚渫土砂の処分の際には,溶出量による管理が必要になる.本研究では,ダイオキシン類の含有量が,環境基準を超過した全国の5港湾で,含有量と溶出量を同時に測定し,両者の関係を明らかにした.ダイオキシン類の異性体組成の違いに着目し,含有量試験に対応する底泥中の固相濃度から平衡状態での水相濃度をlog K ow および強熱減量を用いて推定したところ,溶出量試験で得られた毒性等価濃度は,平衡計算で得られた水相の毒性等価濃度と同等もしくはそれよりも小さかった.低塩素の異性体の測定限界が溶出試験値を低くする原因と考えられた.