本研究では,ハクチョウの餌となるマコモの成長と生育基盤厚さおよびハクチョウの摂食の関係について調査した.その結果,ハクチョウの摂食による撹乱がない場合,生育基盤厚さの増大に伴う株の大型化は地上部生産量および地下茎生産量を増大させることが明らかとなった.一方,撹乱がある場合には,生育基盤厚さの大きい場所は摂食により生成された浮きマコモが漂着しやすく,これにより株の大型化がより促進され地上部生産量は増大するが,地下茎については株によって伸長が空間的に制限されるため生産量が減少することが明らかとなった.これらから,ハクチョウの餌となるマコモの地下茎をより効果的・効率的に生産するためには,生育基盤厚さを確保するだけでなく,株の流出や流入・定着を制御することが重要であることが明らかとなった.