下水汚泥の燃料化として,熱分解を用いた炭化,あるいはガス化処理が研究・開発されているが,これらは,回収熱量,立地条件などの観点から,適切に選択する必要がある.そこで,まず本研究では汚泥の熱分解温度が生成物組成,発熱量に与える影響を定量的に明らかにすることを目的とした. 乾燥ケーキ熱分解実験の結果,熱分解残渣としては,300°Cで乾燥ケーキ低位発熱量の約70%を回収できるが,500°C以上では収率と低位発熱量がともに減少するため,燃料利用としては300°Cに比較して不利となる.一方,生成ガスとしては900°Cでは,乾燥ケーキ低位発熱量の約36%程度の回収であるが,900°C+水蒸気の条件では,CO,H2の生成量増加により,約50%の回収が見込めることがわかった.