七北田川河口干潟での調査から,底質の有機物含有率は底生生物が安定的に生息している場であっても常に変動しており,動的平衡の状態にあると考えられた.非粘着性と粘着性の底質では,有機物含有率の変動周期・幅が異なり,動的平衡をもたらす物理的機構に違いがみられた.砂の巻き上げ頻度が低下し大潮時の周期的な有機物の洗い流しが起こらない地点で,底質の粘着性発現にともない有機物含有率が非粘着性の底質よりも著しく高くなると考えられた.これらの結果に基づき,自然干潟における有機物含有率の動的平衡,および底質の巻き上げ頻度と有機物含有率の関係を記述する概念モデルを提案した.今後,底質性状の動的平衡を目指すことで,持続性を有した干潟再生の確実性向上が期待できると考えられた.