沿岸域の環境保全対策の一環として進められている人工干潟の造成法として,浚渫ヘドロを干潟生物の栄養源となる資源ととらえ,この脱水ケーキと海岸の砂質土を混合して造成する資源循環型人工干潟造成工法が提案され,三重県英虞湾内で7200m2の造成が行われた.筆者らは浚渫ヘドロを低圧縮力で固液分離する低圧脱水処理システムを開発した.本報は本システムで処理した低圧処理土を資源循環型人工干潟へ利用するための実用性について,32ヶ月間にわたる現地実験で物理特性の変化,底生生物の生息量の面から検証するとともに,低圧処理土で構築した人工干潟の環境改善効果を評価した.実験より低圧処理土を用いた資源循環型人工干潟は天然砂質土干潟に比べ大型のマクロベントスが生息しやすく,高い基礎生産力を有することを確認した.