食塩摂取量推定法として全尿採取による尿中ナトリウム排泄量の推定法がある。この方法の大前提は正確な24時間尿量の把握である。そこで, 3-5歳児の蓄尿方法の検討および24時間尿量の推定を試みた。宮城県内の3歳から5歳の健常幼児を対象に早朝尿の採取と24時間尿の採取とを2003年と2005年に計4回実施した。分析対象は, 4回の蓄尿方法において採尿記録により, 取りこぼしがなかったと判断された対象者242名 (52.8%) のうち, 著しく体調を崩していた児および基礎データの欠損があった児5名を除いた237名とした。性別と測定回を要因とした2元の分散分析を行ったところ, 早朝尿, 24時間尿, 身長あたりの尿量等のすべての項目について, 交互作用も性の効果も有意ではなかった。いずれも2003年の値よりも2005年の値のほうが有意に大であった。24時間尿量の変動係数は, 2003年調査では42%, 2005年調査では35%であった。24時間尿量と早朝尿量との相関係数は, 2003年調査では r =0.54, 2005年調査では r =0.60で, ともに有意な相関はあったが, 相関係数は必ずしも高くなかった。2005年度の調査において得られた24時間尿量を目的変数として体重, 身長, 体表面積および除脂肪体重との間には有意な相関は認められたが, いずれも相関係数は r =0.26であった。今回対象とした3-5歳児の尿量は, 早朝尿量165 (mL/日), 24時間尿量533 (mL/日), 身長あたりの尿量518 (mL/m) と考えてよい。