妊娠・授乳期の脂肪摂取量の差異が, 仔ラットの脂肪摂取嗜好に及ぼす影響を調べた。妊娠・授乳期の母親ラットを低脂肪食飼料 (LFD), 標準食飼料 (CTD) およびラードを添加した高脂肪食飼料 (HFD) で飼育し, 離乳後仔ラットにはLFDとHFDを選択摂取させ両飼料の摂取割合を5週目まで調べた。いずれの群の母親と仔ラットとも, 実験期間を通して等カロリーになるように飼料を摂取しており, 各群間の体重に有意な差はみられなかった。離乳1週目の仔ラットのHFD摂取割合は85-90%であり, 3群間に有意な差はみられなかった。2週目以降も, LFD群の仔ラットは85% (脂肪エネルギー比率, F比 : 38%) 前後, HFD群の仔ラットは90-95% (F比 : 39-40%) の高率でHFDを摂取し続けたが, CTD群の仔ラットでは60-65% (F比 : 31%) に低下した。CTD群の母親と5週齢の仔ラットの血漿トリグリセリド濃度は他の2群に比べて有意に低かった。したがって母親が不適正なPFC比率で飼料を摂取したならば, その仔ラットは離乳後適正な脂肪エネルギー比率になるようLFDとHFDを選択摂取する能力を失うと考えられた。