食物繊維は難消化性のために,栄養素中心の栄養学では注目されることはなかった。しかし,食物繊維には栄養素では達することのできない種類の栄養・生理機能があり,健康を維持する上で必須な食品成分であることが明らかにされた。現在,食物繊維の定義,分類,分析法については,まだ意見の一致をみていない。食物繊維の研究が進む中で,小腸で消化されないでんぷんの存在が明らかになり,それらはレジスタントスターチとよばれ,食物繊維と同様の栄養・生理機能を有することが明らかになった。食物繊維の栄養・生理機能は粘性やかさ形成能などの物理・化学的特性によって影響された。食物繊維やレジスタントスターチは生活習慣病予防を目的とした食品の開発に応用されている。