ヘスペリジンは柑橘類に多く含まれ,末梢血管強化作用が知られている。サイクロデキストリン合成酵素によってヘスペリジンを配糖化し,吸収性を向上させた酵素処理ヘスペリジンを用いて,冷え症女性に与える影響について検討した。冷えを訴える女性11名(29.6±3.9歳)を対象に酵素処理ヘスペリジン(250 mg/日)またはプラセボ(粉糖,250 mg/日)を二重盲検交差法により摂取させ単回摂取40分後と7日間継続摂取後において,手掌部に15°C,1分間の冷却負荷を与え,その後の皮膚表面温,皮膚血流量,血管幅の変化を評価した。その結果,酵素処理ヘスペリジン単回摂取時は,プラセボに比べて冷却負荷後の温度変化量,血流変化率が有意に高く,酵素処理ヘスペリジン継続摂取時においても,冷却負荷後の温度変化量,血流変化率が有意に高値を示した。よって,酵素処理ヘスペリジンを摂取することで,末梢の血流量が増加して,皮膚表面温度を回復させると考えられる。また,継続的に摂取することでその効果が維持され,冷えを緩和する可能性があることが示唆された。