動脈硬化症を予防すると考えられる食品成分の生理作用とその作用機構をおもに実験動物を用いて明らかにした。植物ステロールの飽和物である植物スタノールが植物ステロールよりも強くコレステロール吸収を阻害し, 効果的な血清コレステロール濃度低下作用を発揮することを示した。さらに, 植物ステロールおよびスタノールのコレステロール吸収阻害作用の機構を明らかにした。緑茶カテキンの生理作用に関する研究では, 血清コレステロール濃度低下作用と食後高トリアシルグリセロール血症抑制作用の機構を明らかにした。EPAおよびDHAの生理作用に関する研究では, EPAとDHAの脂質代謝への影響の違いや, それらのトリアシルグリセロールでの結合位置の違いによる脂質代謝への影響の違いを明らかにし, また, おもにDHAを多く含む魚油の食後高トリアシルグリセロール血症抑制作用の一機構を提示した。これらの研究は機能性食品の開発や利用に重要な科学的根拠を与えた。