若年者において, 動物性食品摂取量が増加し, 魚介類摂取量が減少している原因の究明を目的に, 4週齢ラットにラード食, 大豆油食, 魚油食を8週間摂取 (実験食摂取期間) させた後に, ラード食と魚油食の選択摂取 (選択摂取期間) を行わせ, 魚油の嗜好性に及ぼす成長期の摂取油脂の影響を調べた。実験食摂取期間後の血漿トリアシルグリセロールと総コレステロール濃度は, 魚油食群が他の2群に比べて低かった。選択摂取開始直後の魚油食摂取割合[魚油食摂取量 (g) /総摂取量 (g) ]はラード食群が最も高く, 大豆油食群, 魚油食群の順に低かった。しかし, ラード食群と大豆油食群の魚油食摂取割合はしだいに低下し, 逆に魚油食群は増加し, 選択摂取7-9日目以降の魚油食摂取割合は, 3群とも約20%となり, 選択摂取期間後の血漿脂質濃度にも3群間で有意な差はみられなくなった。したがって, 3群のラットは, 実験食摂取期間に不足した脂肪酸を選択摂取開始直後に補足し, その後は必須脂肪酸摂取割合 (n-6/n-3) 3でラード食と魚油食を選択摂取したことから, ラットは適正な比率で必須脂肪酸を摂取する能力を有していると推測された。