出納実験時に糞採取マーカーとして0.1%カルミン添加食を用いる必要性について検討した。フィッシャー系3週齢の雄ラット24匹をAIN-93G飼料にて1週間予備飼育後, 4群に分けた。実験飼料は2種; AIN-93飼料G (M) (Con) または, 糖質源をすべてスクロースにした飼料 (Suc) であり, 出納実験手法は2手法; マーカー使用群 (M) またはマーカー非使用群 (NM) とした。それぞれをConM群, ConNM群, SucM群, SucNM群とした。出納実験は, 本飼育開始直後 (1週目, I期), 3週目 (II期), 5週目 (III期), 5カ月目 (IV期) および7カ月目 (V期) にそれぞれ4日間 (V期のみ3日間) 実施した。M群には出納実験開始日と終了日に0.1%カルミン添加食 (赤色に着色) を与え, 翌日の糞採取の際, 赤色糞と白色糞を分別採取した。NM群は出納実験期間の糞をすべて採取した。乾燥糞重量, カルシウム吸収率から糖質源の差, 出納実験実施の時期の違いも含め, マーカー使用有無の影響を検討した。その結果, 出納実験開始翌日の糞には, 前々日由来の糞が排泄されることが示され, その量は加齢とともに増加することが示された。また, I期のSucM群とSucNM群の乾燥糞重量, カルシウム吸収率に差が認められた。ConM群とConNM群には差は認められず, その他の出納実験期でも糞重量にマーカー使用有無の影響は認められなかった。以上の結果から, 飼料交換直後に出納実験をする際, および週齢の異なる群間を比較する際などには, マーカーを使用する必要性があることが明らかとなった。同一飼料が継続的に給与されている場合は, ラットがコンスタントに飼料を摂取しコンスタントに糞を排泄しているという前提のもと, マーカーを使用しない出納実験が可能であると考えられた。